スマホ利用の休憩時間、意識的に作っていますか? 短時間でも効果的なデジタルブレイクの始め方
意識せずにスマホを使い続けてしまう日々、短い休憩は必要ですか?
現代社会において、スマートフォンは私たちの生活に深く根ざしています。情報収集、コミュニケーション、娯楽、仕事、あらゆる場面でスマホは不可欠なツールとなっています。しかし、その利便性の裏側で、意識せずに長時間利用してしまい、気づけば貴重な時間を浪費していた、あるいは目の疲れや肩こりを感じている、といった悩みを抱える方も少なくありません。
まるで呼吸をするかのように自然にスマホに手を伸ばし、SNSやニュースアプリ、動画などを延々と見てしまう。このような経験は、多くの方にあるのではないでしょうか。常に情報に触れている状態は、脳を休ませる機会を奪い、疲労を蓄積させる可能性があります。このような状況において、短時間でも意図的にスマホから距離を置く「デジタルブレイク」の必要性が高まっています。
あなたはデジタルブレイクが必要ですか? 利用状況を客観的に把握する
まずは、ご自身のスマホ利用状況を客観的に把握することから始めましょう。デジタルブレイクが必要なほど、無意識に使い続けているかを数値で確認できます。
スマートフォンの多くには、利用時間や特定のアプリに費やした時間を計測する標準機能が搭載されています。
- iPhoneの場合: 「設定」アプリから「スクリーンタイム」を選択します。ここでは、日ごとの合計利用時間、週ごとの平均、そしてアプリごとの利用時間を確認できます。
- Androidの場合: 「設定」アプリから「デジタルウェルビーイングと保護者による設定」を選択します。こちらも、日ごとの利用時間、アプリごとの利用時間などが表示されます。
これらの機能で表示される利用時間を見て、想定よりもはるかに長い時間を使っていたり、特定のアプリに偏って時間を使っていたりする場合、意識的なデジタルブレイクを設けることを検討する価値があると言えるでしょう。特に、仕事の合間や家事の休憩時間など、本来はリフレッシュに充てるべき時間帯に無意識にスマホを触ってしまう傾向があるかどうかも確認してみてください。
なぜ、短い休憩も取りづらいのか? その背景にあるもの
デジタルブレイクが必要だと認識しても、実践するのは容易ではないかもしれません。なぜ私たちは、ほんの数分でもスマホから離れるのが難しく感じるのでしょうか。
その背景には、いくつかの要因が考えられます。
- 通知への反応: 新着メッセージや更新情報を示す通知は、私たちの注意を引きつけ、すぐに確認しなければならないという衝動を生み出します。これにより、「ちょっとだけ」とスマホを手に取り、そこからずるずると利用時間が延びてしまうことがあります。
- アプリの設計: 多くのアプリ、特にSNSや動画サービスなどは、ユーザーを飽きさせないように設計されています。次々と新しいコンテンツが表示される仕組みは、利用をやめるタイミングを見失わせやすい構造になっています。
- 隙間時間の埋め合わせ: 電車待ちの時間、コーヒーブレイク、CM中など、ちょっとした隙間時間をスマホで埋めることが習慣化している場合、意識的に何もしない時間を作ることに慣れていない可能性があります。
これらの要因が複合的に絡み合い、私たちは「常に接続されている状態」から抜け出しにくくなっています。
短時間でも効果的なデジタルブレイクを実現するための具体的な対策
意識的なデジタルブレイクを日常生活に取り入れるために、具体的かつ実践的な方法をいくつかご紹介します。スマートフォンの機能を活用することも有効です。
1. ブレイクタイムを「計画」する
まず、いつ、どれくらいの時間、デジタルブレイクを取るかを具体的に計画します。例えば、「午前中の作業が一段落したら15分」「ランチの後、席を立って5分」「寝る1時間前」など、時間帯やトリガーを決めておきます。アラーム機能を活用して、ブレイクタイムの開始を知らせるように設定するのも良い方法です。
2. スマホを物理的に遠ざける、見えない場所に置く
ブレイクタイム中は、物理的にスマホから距離を置くことが最もシンプルかつ効果的な方法の一つです。別の部屋に置く、引き出しにしまうなど、すぐに手に取れない、あるいは視界に入らない場所に移動させます。これにより、無意識に手に取ってしまう衝動を抑えることができます。
3. 通知を一時的に停止する
ブレイクタイム中に通知が来ることで、再びスマホの世界に引き戻されてしまうことを防ぎます。
- 「おやすみモード」(iOS)または「サイレントモード」(Android)の活用: これらのモードをオンにすると、着信や通知音を一時的に停止できます。手動でオンにするだけでなく、特定の時間帯や場所にいるときに自動的にオンになるように設定することも可能です。
- 「集中モード」(iOS 15以降)または「フォーカスモード」(Android 12以降)の活用: これらの機能は、特定の活動(例: 休憩、仕事)に合わせて、許可する通知や利用できるアプリをカスタマイズできます。ブレイクタイム用のカスタムモードを作成し、その間は連絡や最低限のツール以外のアプリ通知を全てオフに設定することが有効です。
4. 特定のアプリに時間制限を設定する
ブレイクタイム中に利用を避けたい特定のアプリ(SNSやゲームなど)に対して、時間制限を設定することも有効です。
- 「スクリーンタイム」(iOS)または「デジタルウェルビーイング」(Android)の機能: これらの機能を使って、特定のアプリカテゴリや個別のアプリに対して、1日の利用時間上限を設定できます。例えば、「娯楽」カテゴリのアプリは1日合計30分まで、といった設定や、特定のアプリは特定の時間帯に利用できないように制限する設定(App使用時間の制限、アプリタイマーなど)が可能です。ブレイクタイムの時間帯には、これらのアプリが使えなくなるように設定することで、衝動的な利用を防ぐ助けになります。
5. デジタルブレイク中の代替行動を決めておく
スマホを使わない時間で何をするか、事前に決めておくと迷いがなくなります。窓の外を眺める、軽いストレッチをする、瞑想する、本を読む、温かい飲み物を淹れるなど、心身がリフレッシュできる静かな活動が推奨されます。
まとめ:小さな一歩から、意識的なスマホ利用へ
スマートフォンの過剰な利用は、私たちの時間や集中力、さらには心身の健康に影響を与える可能性があります。しかし、完全に利用をやめるのではなく、賢く付き合っていくことが現実的です。
今回ご紹介した「デジタルブレイク」は、日常の中に意識的に短い休憩時間を設けることで、スマホとの距離感を適切に保つための一つの方法です。利用状況の把握から始め、通知管理やアプリの利用制限といったスマートフォンの標準機能を活用しながら、ご自身にとって実践しやすい方法を見つけてください。
最初は数分からでも構いません。意識的にスマホから離れる時間を作る習慣は、無意識の長時間利用を減らし、より健全で生産的なデジタルライフを送るための重要な一歩となるでしょう。焦らず、ご自身のペースで試してみてください。