設定したスマホ利用目標、達成状況を「見える化」し継続をサポートする機能活用ガイド
長時間にわたるスマートフォンの利用が、大切な時間を奪ったり、睡眠不足を引き起こしたりする原因となっていると感じている方は少なくないでしょう。自身の利用状況を改善しようと、利用時間の目標を設定してみた、あるいは特定のアプリの使用を控えようと決意してみた、という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、目標を設定しただけでは、日々の忙しさの中でその目標を意識し続けることは容易ではありません。目標達成の進捗が見えにくいと、モチベーションを維持するのが難しくなり、気づけば以前と同じように漫然とスマートフォンを使ってしまっている、という状況に陥りがちです。
なぜ、目標設定だけでは不十分なのでしょうか。人間の行動は、進捗が可視化され、達成感を得られると強化される傾向があります。スマートフォンの多くのアプリは、意図的にユーザーの利用を継続させるような設計がされています。それに対抗し、自身の目標達成行動を強化するためには、単に目標を立てるだけでなく、その達成状況を客観的に把握し、「見える化」することが効果的です。達成度が見えると、改善に向けた行動への意識が高まり、継続への意欲につながります。
では、どのようにして自身のスマホ利用目標の達成状況を「見える化」し、継続的な改善をサポートすれば良いのでしょうか。スマートフォンの標準機能には、この「見える化」と継続を助けるための様々なツールが備わっています。
自身のスマホ利用目標を「見える化」し、継続をサポートする方法
1. 利用時間の目標設定と週次・日次レポートの活用
多くのスマートフォンには、「スクリーンタイム」(iOS)や「デジタルウェルビーイング」(Android)といった、自身のデバイス利用状況を確認・管理する機能が搭載されています。これらの機能を使うと、日ごとや週ごとに特定のアプリやカテゴリの利用時間制限を設定することができます。
目標を設定したら、これらの機能が提供する週次レポートや日次サマリーを定期的に確認しましょう。ここには、設定した目標に対して、実際にどれだけ利用したか、目標を達成できたかどうかが数値やグラフで表示されます。
- 確認方法の例:
- iOS: 「設定」アプリ > 「スクリーンタイム」 > 「すべてのアクティビティを見る」
- Android: 「設定」アプリ > 「デジタルウェルビーイングとペアレンタルコントロール」 > 「デジタルウェルビーイング」
目標達成状況を視覚的に確認することで、「今週は目標を達成できた」「昨日は使いすぎたな」といった具体的なフィードバックが得られます。このフィードバックが、次の日の利用への意識を高めることにつながります。
2. 達成状況を知らせる通知やリマインダーの設定
目標達成をサポートする機能の中には、設定した制限時間に近づいたときや、時間制限を超えたときに通知を表示するものがあります。これらの通知を有効に活用しましょう。
また、一部の機能では、設定したアプリの利用時間が一定量を超えた際に休憩を促すリマインダーを設定することも可能です。これらの通知やリマインダーは、無意識に使いすぎることを防ぎ、意図的に利用を中断するためのトリガーとなります。
さらに、週次レポートや日次サマリーの確認を習慣化するために、特定の曜日の特定の時間にレポートを確認することを促すリマインダーを、スマートフォンの標準リマインダー機能などで別途設定することも有効です。
3. ホーム画面へのウィジェット設置
iOSのスクリーンタイムやAndroidのデジタルウェルビーイングには、ホーム画面に設置できるウィジェットが用意されている場合があります。これらのウィジェットを利用すると、アプリの利用時間や特定のアプリの残り利用時間などを、ホーム画面で手軽に確認できるようになります。
スマートフォンのロックを解除してすぐに利用状況が目に入るようにすることで、自身の目標や現在の状況を常に意識しやすくなります。これにより、「ちょっとだけ」のつもりが長時間になってしまう、といった無意識の行動を抑制する効果が期待できます。
ウィジェットの種類や表示内容はOSのバージョンによって異なりますが、自身の目標管理に役立つ情報を表示できるか確認してみる価値はあります。
4. 利用データに基づいた目標と対策の見直し
週次・日次レポートを確認する習慣がついたら、次はデータに基づいた振り返りと目標の見直しを行いましょう。
- 目標を達成できなかった日は、どのアプリに時間を使ったのか?
- 特定の曜日や時間帯に使いすぎる傾向があるか?
- 設定した目標時間は現実的か、それとも厳しすぎるか?
といった点を、具体的な利用データを見て分析します。分析結果に基づき、目標時間を調整したり、特定の時間帯だけ利用を制限する設定(おやすみモード、フォーカスモードなど)と組み合わせたり、最も利用時間が長いアプリに集中的に制限をかけるなど、より効果的な対策へと繋げることができます。
このデータに基づいた振り返りと対策の見直しこそが、継続的な改善サイクルを回していく鍵となります。
まとめ
スマートフォン利用の健全化に向けた目標設定は重要な第一歩ですが、その目標を継続的に意識し、達成に向けて行動するためには、「見える化」と振り返りが不可欠です。
スマートフォンの標準機能であるスクリーンタイムやデジタルウェルビーイングが提供する利用レポート、通知、ウィジェットなどを活用することで、自身の目標達成状況を客観的に把握し、日々の利用に対する意識を高めることができます。
これらの機能を活用して、目標設定で終わらず、達成状況を可視化し、データに基づいた改善を続けることで、より健全で有益なスマートフォンの利用習慣を築いていくことが可能になります。ぜひ、ご自身のスマートフォンの設定を確認し、これらの機能の活用を始めてみてください。